小学校の先生になるためにTop pageへ

当たり前と言えば、当たり前だけど、小学校の先生は、公務員[地方公務員です。ちなみに警察官は国家公務員]なのですから、法律によっていろいろ決められています。ここでは、小学校の先生になるために、どうのような道をたどるのか、簡単に説明します。(簡単でもないか・・・)

高校を卒業する

「教育職員免許法」に次のものは、教育職員免許(以下、教員免許)を授与しないとなっています。
[授与する、じゃないよ。]
「教育職員免許法」 第2章 免許状 第5条(授与)
普通免許状は、別表第1若しくは第2に定める基礎資格を有し、かつ、大学若しくは文部大臣の指定する養護教諭養成機関において別表第1若しくは第2に定める単位を修得した者又は教育職員検定に合格した者に授与する。
ただし、次の各号の一に該当する者には、授与しない。
  1. 18歳末満の者
  2. 高等学校を卒業しない者(通常の課程以外の課程におけるこれに相当するものを修了しない者を含む。)。ただし、文部大臣において高等学校を卒業した者と同等以上の資格を有すると認めた者を除く。
  3. 禁治産者及び準禁治産者
  4. 禁錮以上の刑に処せられた者
  5. 免許状取上げの処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
  6. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
「えっ?中卒じゃ、小学校の先生になれないの?」
なれます。といっても、最終履歴が中学卒業のままではダメです。上にある2に、「ただし、文部大臣において高等学校を卒業した者と同等以上の資格を有すると認めた者を除く。」とありますね。つまり、大検に合格すればOK.。
大検とは、正式には「大学入学資格検定」といい、何らかの理由で高校卒業資格を持たない人に対し、高等学校の卒業者と同等以上の学力があるかどうか認定することを目的とする国の検定試験です。これに合格すれば、大学を受験する資格が得られ、STEP2に進めます。

「大検について、もっと教えて!」
それくらい、自分で調べましょう。きつい言い方かもしれませんが、中卒から小学校の先生になるための道のりは、非常に長いです。何でもかんでも人に聞くのではなく、まず、自分で調べてみましょうね。

・・・ということで、とりあえず、高校は、卒業しておきましょう。

教員免許状を取得する

小学校の先生になるのに、どうしても必要な物。それは、「教育職員免許」(以下、教員免許)。これがないと、学校の先生には、なれません。
教員免許を手に入れるためには、いくつかの方法がありますが、一般的なのは、大学等で、教育関係の単位を取得することによって、教員免許がもらえます。
「教育職員免許法」 別表第1(第5条関係) 大学において
 修得することを必要とする
最低単位数
免許状の種類 基礎資格 教科に関する
科目
教職に関する
科目
教科又は
教職に関する科目
小学校教諭 専修免許状 修士の学位を有すること。 41 34
1種免許状 学士の学位を有すること。 41 10
2種免許状 学校教育法第69条の2第7項に定める準学士の称号を有すること。 31
【簡単に言うと・・・】
 大学等に進学する際、その大学のその学部を卒業すると、どんな免許が取れるのかを確認しましょう。
 一般的に、4年生大学では、1種免許状。短期大学では、2種免許状。大学院修士課程修了で、専修免許状が取得できます。 もちろん、ただ、卒業するだけでなく、上の表にあるような教職課程の単位を取らなければいけません。

「どんな大学を選べばいいの?」
小学校教員免許が取得できる大学なら、どこでもいいのです。何も情報がないなら、まずは地元の国立大のHPを見てみましょう。たいていの国立大には、教育学部があるはずです。
関東周辺の私立大では、次のような大学があります。

これらの大学のHPを見たい場合は、リンクのページ

「国立大の方が有利って本当?」
さて、どうなんでしょうねぇ。教員採用試験は公的な試験ですから、出身大学によって差があるなんて言語道断なのですが。こればっかりは、採用する側の人に聞かなくちゃわかりません。ただ、地元の国立大の出身者が多いのは事実です。それは、単に学生の人数が多いからかもしれません。まぁ、学費の面からも、国立大は視野に入れておいた方がいいかもしれないけれど、国立大じゃなかったから、採用されなかったと言っても、いいわけにしか聞こえないもんね。

「1種免許と2種免許って何が違うの?」
1種免許と2種免許の違いは、色々あるのですが、現場においては、ほとんど差がありません。2種免許の人も担任をすることができます。まぁ、大きな違いと言えば、給料に差があるということかな。
 ちなみに、平成18年度採用者の東京都の初任給は、
  1種免許状・・・約23万7000円
  2種免許状・・・約21万5900円
で、約2万円ちょっとの差ですね。
 2種免許を持っていれば、現場に入ってからでも、通信制大学や放送大学などで足りない単位を修得すれば、1種免許を取得することができます。(というより、極力、1種免許を取得しなければいけません。)それから、同様にして、専修免許状を取得することもできます。

「通信教育で教員免許って取得できるの?」
できます。ここでいう通信教育というのは、正確には「通信制大学」のこと。小学校の教員免許の取得できる通信制大学で有名なのは、関東では玉川大学、明星大学、関西では佛教大学です。詳しい情報は、各大学のHPで調べましょう。

「私、教育系の大学じゃないからムリなのかしら?」
要は小学校の教員免許が取得できればいいのですから、今の大学を卒業後、通信制大学で取得すればいいのです。大学在学中は、二重在籍になるので、通信制大学に入学できません。
そんな遠回りはできないという方には「小学校教員資格認定試験」というのがあります。これに合格すれば、小学校2種免許が取得できます。
1次試験で「一般教養」「教職に関する科目T」「教職に関する科目U」。2次試験で「教科に関する科目」「口述試験」「実技試験」があります。これは、かなり難しいそうです。まぁ、簡単だったら、誰も大学に行かなくなっちゃうもんね。文部科学省のHPに詳しいことが書いてありますので、見てみましょう。

教員採用試験に合格する

 毎年、7月頃に、各都道府県や政令指定都市による教員採用試験(公立学校教員採用候補者選考)が実施されます。たいてい、1次試験(専門教養、一般教養、論文など)、2次試験(実技試験、面接など)に分かれています。もちろん、1次試験に合格しないと2次試験は受けられません。
 平成16年度の東京都の採用試験の日程は、以下の通りです。

平成19年度採用(平成18年度 夏 実施)

小学校 約1000名(前年度 860名)
 社会人特別選考
         100名以内 
私が受けた年は、募集100名!その年の、埼玉なんざぁ、募集30名だった!
第1次選考 平成18年7月9日(日) 筆記試験
 1)一般・教職教養 90分
 2)専門教養 60分
 3)論文試験 90分 (1200〜1500字程度)
第2次選考 平成18年8月19日(土)
 又は  8月20日(日)
 1)個人面接
受験者があらかじめ作成して提出する学習指導案業等についての質疑応答を含む。
 2)集団活動(課題解決型集団活動)
指定された課題について、受験者が集団で課題解決を目指した話し合いを行い、最後に考えをまとめ、発表・質疑応答等を行う。
平成18年9月3日(日) 実技試験
 水泳(25m平泳ぎ)
 ピアノ(伴奏・歌唱) 
  共通教材「茶つみ」「まきばの朝」「われは海の子」から、
  あらかじめ自分で選んだ1曲を、ピアノを自分で伴奏して歌う。
最終合否発表 平成18年10月6日(金) 東京都庁第二本庁舎1階 臨時窓口(南)
問い合わせ先 教育庁 人事部選考課 電話 03−5320−6787
在学中なら、大学の方でアナウンスしてくれると思うので、それほど心配はないと思います。もちろん卒業後は、全部自分で手続きしなければなりません。
 隣接する都道府県の多くが、1次試験の受験日を同じ日に設定していることが多いので、いくつもの県の試験を受けるというのは、なかなか難しいところです。また、一般的に受験する県に住んでいる方が有利と言われているようです。ただ、東京都は、住んでいる場所については、あまり気にしないという話もありました。ですから、私の周りにも、隣接県から通勤している人もたくさんいます。


「年齢制限があるってホント?」
ホントです。採用試験を行う各自治体ごとに決めています。募集要綱に載っています。だいたい30〜40才くらいまでのようです。

「ピアノが弾けないんですが・・・」
だったら、あきらめるしかないです。あきらめたくなかったら、必死で練習するのみ!採用試験に向けてピアノを習い始める人もいるそうです。

「泳げないんですが・・・」
同上!

「試験勉強って何をすればいいの?」
そんなこと自分で考えなさい!と言いたいところですが、まずは、本屋さんに行きましょう。大きなところなら、採用試験関係の問題集などがあります。パラパラとみて、とりあえず気に入ったものを1冊購入し、それを中心に勉強してみましょう。また、教員採用関係の雑誌もありますので、情報収集もお忘れなく。
 また、各自治体が過去問を公開している場合もあるので、各自治体のHPをのぞいたり、問い合わせたりしてみましょう。
「面接はどんなことが聞かれるの?」
面接や集団討論などは、各自治体によってかなり内容が違うので、大学の先輩などを頼って、去年の情報を仕入れるといいかもしれません。いろいろなサイトに面接の様子がかかれているところもあるので、のぞいてみましょう。

「1次試験免除があるって聞いたんだけど・・・」
あります。これも、都道府県ごとに、いろいろ違うので、必ず、募集要項などで確認してください。
 東京都の場合、去年の合格者、補欠合格者、東京都で非常勤講師などをした経験があるなど、全部で9項目あります。


 はれて、1次2次、両方に合格すると、採用候補者名簿(以下、採用名簿)に名前が載ります。さて、東京都の最近の状況はというと・・・。

東京都の場合

試験のある
年度
種別 募集人数 第1次選考
 受験者数
採用候補者
名簿登載者数
倍率
平成17年度
(18年度採用)
小学校 約860名 3,857名 1,053名(補欠773名) 3.1倍
社会人
特別選考
100名以内 287名 72名(補欠0名) 4.0倍
平成16年度
(17年度採用)
小学校 約860名 3,135名 1,038名(補欠725名)

H17/12/1現在
採用者 1,264名
3.0倍
社会人
特別選考
100名以内 260名 89名(補欠0名) 2.9倍
平成15年度
(16年度採用)
小学校 約670名 3,062名 852名(補欠861名) 3.6倍
社会人
特別選考
30名以内 531名 50名(補欠0名) 4.3倍
平成14年度
(15年度採用)
小学校 約670名 2,803名 664名(補欠812名) 5.1倍
社会人
特別選考
30名以内 278名 25名(補欠0名) 9.3倍
平成13年度
(14年度採用)
小学校約 510名 2,768名 535名 5.2倍
社会人
特別選考
30名以内 242名 31名 7.8倍
平成12年度
(13年度採用)
小学校 425名 2,970名 425人 7倍
社会人
特別選考
30名 230名 30人 7.7倍
平成11年度
(12年度採用)
小学校 350名 2,777名 350人 7.9倍
平成10年度
(11年度採用)
小学校 140名 1,778名 200名 8.9倍
平成9年度
(10年度採用)
小学校 160名
平成8年度
(9年度採用)
小学校 80名
平成7年度
(8年度採用)
小学校 50名

各区市町村の教育委員会に採用される

 STEP3で、教員採用試験に合格して、採用名簿に載ったからといって、すぐに先生になれるわけではありません。巷の噂では、この採用名簿には、ABCとランク付けがしてあるそうです。
 採用名簿には、試験結果が上位のものから順に載っていて、各区市町村は、自分のところにほしい人数だけ、この名簿からピックアップして、教育委員会に呼んで、面接をします。この面接までたどり着ければ、よほど条件が合わない限り採用されるようです。


 先生を目指している人には、かなり厳しいように思えるかもしれませんが、児童数が減少している今として仕方がないことかもしれません。でも、たとえ採用されたとしても、本当の意味での「先生」になるには、まだまだ道のりは遠いのです。幾度となく、失敗を繰り返し、子どもの心が見えなくて悩み、職員室の人間関係に辟易し、「自分は教師という職業に向いていないんじゃないか・・」と迷い・・・。それでも、子どもたちのステキな笑顔にふれることで、また、一歩ずつ歩き始めるのです。

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